職長・安全衛生責任者教育とは?講習の目的と内容を解説!

2020/06/16

目次

現場の職長になったら、受講することが義務づけられている『職長・安全衛生責任者教育』。

労働安全衛生法第60条でも以下のように定められています。

新たに職務につくこととなった職長、その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く)に対し、安全又は衛生のための特別の教育を行わなければならない。
※ 一部省略

ここでは、職長の主な職務内容と、職長・安全衛生責任者教育の講習の目的・内容をお伝えします。

そもそも職長とはどんなひと?

職長の業務内容は、現場で作業員への指示出しや安全面の確保作業員の教育・指導・是正作業現場で使用する用具類の点検と保全など、多岐にわたります。

作業員の安全面・現場の衛生面においての責任者として、現場には欠かせない重要な役割を担うのが「職長」の仕事です。


職長の主な職務内容

ここでは、実際の現場で行う職長の主な職務内容について見ていきましょう。

(1)作業手順を正しく定める
安全、効率よく作業ができるように作業の手順と急所を定め、定期に見直しを行うこと。


(2)作業方法を改善する
常に問題意識を持ち、問題を見つけたら改善をすること。


(3)作業員を適正に配置する
作業の条件、内容に対し、部下の労働能力、知識、経験、体力、資格等を生かし、仕事が最も順調に進むように作業割り当てをすること。


(4)作業員に対して教育指導を行う
安全で、正しい作業を行えるように、必要な知識、技能を身につけさせ、やる気を起こさせるように教育指導を行うこと。


(5)作業員に対して監督・指示をする
作業開始を指示し、作業中は指示どおりに作業が行われているかを監視するとともに、不安全行動を発見したときは是正指導をすること。


(6)危険性及び有害性を調査し、対策を実施する
事前に、使用する機械設備や作業方法等の危険性又は有害性を調査し、その結果にもとづき改善措置を決定し作業計画、作業手順を定める。


(7)環境の改善・保持に努める
常に4Sを心がけ、快適な環境で作業が行えるように作業環境改善を行い、作業者の健康管理と職業性疾病対策を行うこと。


(8)安全衛生点検を繰り返し実施する
機械設備、環境等については、始業前、定期に点検を実施し基準からはずれた「異常な状態」を早期に発見して是正すること。


(9)異常時の措置は適切に行う
現場の異常事態を早期に発見し適切な措置をとるとともに、同種・類似の異常が発生しないように再発防止対策を講じること。


(10)災害発生時の措置は適切に行う
災害発生時は、まず被災者を救出し、二次災害防止の措置を講じた後、同種災害防止のため、災害調査及び原因分析を行い安全対策を講じること。


(11)作業者の安全意識の高揚に努める
労働災害の防止を図るためには、作業者全員が労働災害防止についての安全意識を高めるための安全活動を計画・継続的に行うこと。


(12)創意工夫を引き出す
例えば、ヒヤリハット報告、改善提案制度といった諸活動をとおして、作業者から作業方法、作業環境改善等の提案や工夫を出させること。

引用 : 一般財団法人中小建設業特別教育協会「職長・安全衛生責任者教育 教育課程」

職長になっても、すぐ現場には入れない?

労働安全衛生法第60条でもある通り、新しく職長になった場合は、『職長・安全衛生責任者教育』という講習を受講することが義務づけられています。

そのため、職長になることを命じられたとしても、すぐには現場に入ることができないのです。

職長として現場で働くには、作業員を指導・教育するため知識や、安全衛生責任者としての職務内容をしっかり学び、講習を修了したうえで現場に出ることが必要とされています。


職長・安全衛生責任者教育の講習内容

建設業界では、安全衛生管理として、当該仕事を自ら行う者は、安全衛生責任者を選任し、その旨を元方事業者に遅滞なく通報するとともに、定められた職務を行わなければならないという決まりがあります。

職長が安全衛生責任者として選任されることが多いので、「職長教育」と「安全衛生責任者教育」を併合させて、『職長・安全衛生責任者教育』としています。

職長・安全衛生責任者教育は、2日間の講習を受講することで修了証を得ることができます。(講習を受けることが前提なので、終了後に試験を課されることはありません)

以下は、2日間の講習内容の一例です。講習を行っている協会や教習所によって、講習内容・時間や進め方などが異なる場合があるのでご注意ください。


(1)作業方法の決定および労働者の配置に関する内容:2時間

(2)労働者に対する指導または監督の方法に関する内容:2.5時間

(3)危険性または有害性等の調査、その結果に基づき講ずる措置に関する内容:4時間

(4)異常時における措置に関する内容:1.5時間

(5)その他、現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関する内容:2時間

(6)安全衛生責任者の職務等に関する内容:1時間

講習はどの機関も基本的に2日間ですが、受講料は機関によって異なります。

※ だいたい1万5千円~2万円くらいが多いです。

まとめ

今回は職長の主な職務内容と、職長・安全衛生責任者教育の講習の目的・内容をお伝えしてきました。

『職長・安全衛生責任者』の資格は、現場の職長(リーダー)として活躍する上で欠かせない資格の1つです。職長の職務内容はとても幅広く、作業員の安全面・現場の衛生面を保守する重要な立場にあたり、建設現場では無くてはならない必要不可欠な存在です。

『職長・安全衛生責任者』の資格を取得していれば、現場での職務だけでなく、就職・転職活動を行う際も活かしていけるでしょう。

年齢制限や受講に必要な実務経験などはないため、建設業に携わる方であれば、ぜひ取得することをオススメします。

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