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2018年度の第二種電気工事士 上期筆記試験に見事、独学で合格されたKさん。
前回お届けした、『元ドラッグストア店員|第二種電気工事士試験に独学で挑戦【前編】』の記事では、Kさんが、第二種電気工事士の取得を目指したきっかけや、筆記試験の勉強方法などを中心にお伝えしました。
今回の記事では、筆記試験合格~技能試験の受験までのインタビュー内容を後編としてご紹介したいと思います。技能試験をどのように対策したのか・試験当日のエピソード・技能試験での注意点をくわしくお伝えするので、第二種電気工事士 技能試験の対策に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
筆記試験 合格後からの準備
ーー 筆記試験の合格発表から、技能試験までは約1ヶ月ほどあります。Kさんが技能試験の対策を始めたのはいつ頃からですか?
自分は、筆記試験が終わって1週間くらい経ってから動き出しました。
技能試験対策用に、テキスト・工具・材料を探したのですが、Amazonではテキストが売り切れていて…。お届け予定日が翌月となっていたので「どうしよう…」とちょっと焦りましたが、とりあえず工具と材料のみを買いました。
テキストは、ヨドバシ.comで「すいーっと合格」シリーズの技能試験用をネット購入しました。
● ホーザン(HOZAN) 電気工事士技能試験工具セット 基本工具+P-958VVFストリッパー DK-28 特典ハンドブック付
● 準備万端シリーズ (1回練習分) 第二種電気工事士技能試験練習用材料「全13問分の器具・電線セット」
※Kさんが購入したのは2018年度版です。
技能試験対策用のテキスト・工具・材料は、なるべく早く手に入れるのが良いと思います。でないと、自分の時みたいに「売り切れで買えなかった」なんてことになりかねないので。
買うタイミングとしては、『筆記試験の自己採点で合格していると分かったら』で良いかもしれません。
ーー 筆記試験と同様、技能試験も独学で挑んだとのことですが、講習会などには参加しなかったのですか?
はじめは講習会に参加することも考えていました。ですが、参加するとなると3回くらい足を運ばないといけないし、値段も3万円~6万円くらいで決して安い金額ではなかったので、今回は参加しませんでした。
購入したテキストには、付属品で技能試験対策用のDVDも付いていたので、なんとかこれで頑張ってみようと思いました。
講習に参加するかしないかは個人の自由だと思います。自分の場合は「実力が不十分な状態で行っても意味ないだろうな…」と考えていたので、一人で勉強するのに不安を感じていたり、プロの先生に指導してもらいたいという人は講習会に参加してみるのもいいかもしれません。
技能試験の勉強、本格始動
ーー 技能試験の勉強はどのように進めていきましたか?
技能試験も、筆記試験の時と同様に、テキストの目次に書いてある順番通りに進めていきました。まずはじめに取り組むのが『複線図を書けるようにする』ことでした。
ですが、テキストを読んでも、複線図の書き方・つなぎ方がさっぱり分からなかったので、その部分は後回しにして、ほかの所から取り掛かりました。
自分的に、分からなかった部分を後回しにしたこの作戦は、たぶん成功だったと思っています。 最終的に、複線図をちゃんと理解できたのは技能試験の3日前くらいでしたが、後回しにした分、ほかの所の勉強はスムーズに進めることができたからです。
技能試験の勉強で苦労した点
ーー 技能試験の勉強で、特に力を入れた作業などはありますか?
技能試験の勉強では、まずは1つ1つの作業を、DVDとテキストを見ながら覚えていくようにしました。中でも、特に練習したのは『ランプレセプタクル結線施工』です。
この作業は、技能試験の候補問題に頻繁に出てきますし、これがスムーズにできれば他の作業も楽にできるからです。
ランプレセプタクル結線施工では、ネジが緩んでいないか・台座を通さずに結線していないか等を気を付けながら取り組みました。
練習では、すいーっと合格のテキストに付いてきたDVDを参考にしました。このDVDの中では、ケーブルストリッパーではなく電工ナイフを使って解説していましたが、自分は本番に備えてケーブルストリッパーを使って練習しました。
テキストに付いてきたDVDでの練習が終わった後は、今度は材料を購入した時に付いてきたDVDを見ながら、候補問題13問の練習を一通り行いました。
ーー 技能試験の勉強で、「一番難しいと感じた部分」はどこですか?
一番難しかったのは、やっぱり図面ですね。単線図を複線図に書き直す(展開させる)ことが特に難しくて、理解するのにけっこう苦労しました。
単線図・複線図の問題は筆記試験の時にも登場しましたが、じっくり勉強していなかったので、何度も書いて頭に叩き込みました。
ーー 勉強をしている時の思い出・エピソードがあれば教えてください。
はい、失敗談ならあります…。
今回、技能試験の練習材料を1回分しか買わなかったのですが、途中でケーブルが足りなくなってしまってかなり焦りました。候補問題13問を1周分練習するだけの材料しかなかったので、同じ問題を繰り返し練習することができなかったんですよね。
本当は、試験の本番直前に時間を計りながらリハーサルをやりたかったのですが、ケーブルがなかったので最後はDVDを見て復習するだけになってしまい、正直めちゃくちゃ不安でした。
ケーブル(VVFケーブルの1.6㎜ 2心)はよく使うので、足りなくなることを想定して事前にもうちょっと買っておけばよかったです。
第二種電気工事士 技能試験当日
ーー いよいよ技能試験当日。試験会場に着いた時の心境や、会場の雰囲気などを教えてください。
試験会場には、作業着の人・スーツの人・私服の人、色んな人がいました。自分が受験した場所は一般的な商業ビルが会場になっていて、トイレの数が少なかったことが印象に残っています。
部屋の入ってみると夏場ということもあってすごく暑くて、ハンカチとタオルは必須だなと思いました。また、思いのほか作業台が狭く、隣の人との距離も近くて…。
正直、練習していた時と比べると、試験を受ける環境はあまり良いとは言えないかもしれませんね。(自分が受験した会場が狭かっただけかもしれませんが)
狭いところでも対応できるように、前もって練習しておくといいかもしれません。
ーー 実際に技能試験を受験してみての感想を教えてください。
実は、直前になって鉛筆を忘れたことに気が付いて…。複線図を描く時に使う4色ボールペンを持っていくことに意識を集中しすぎて、受験票に名前を書くための鉛筆を忘れてしまいました(笑)
かなり焦ったんですが、会場で試験官から鉛筆を借りることができて、何とか事なきをえました…。
試験が始まると、まずは材料が配られ、そのあとに試験問題が配られました。効率よく作業するためには、材料が配られた時点でどの問題が来るのか予測するのも大事です。
例えるなら、料理で言うと「人参・ジャガイモ・玉ねぎ・豚肉が来た…。今回の問題はカレーか肉じゃがかな。手順は…」みたいな感じですかね。ちなみに、この材料が配られた時点で、得意な問題であることは確信したので「イケる!!」って思っていました。
ーー 作業中に気を付けていた点などはありますか?
試験で使うケーブルの長さは、途中で足りなくならないように気を付けて作業していました。
本来ならば、試験前に本番同様の材料を準備した上でリハーサルをやるべきだったんです。でも、練習で材料をすべて使い切ってしまって…。ケーブルを各工程でどれだけ使うかの配分計算の練習を一度もできなかったんですよね。
なので、本番中は「あれ?足りなくね?ヤバくね?」と冷や汗をかきながら作業していました。
ーー 技能試験を実際に受けてみて、手ごたえは感じましたか?
はい!ほぼ全体的にうまくいっていて、作業を終えた後は合格を確信していました。
というのも、練習の時に候補問題13問を一通り行ったのですが、やってみたら自分にも得意不得意があることが分かったんです。不得意なものはテキストを見ても理解できず、本番で出題されたら不合格確定だなと思っていました…。
ですが、試験当日に出題されたのは、自分が1番目か2番目に得意な問題だったので、「これは合格できるだろう!」なと。
結果は……
ーー 気になる試験結果はどうでしたか?
はい、残念ながら今回は不合格でした…。
自信はあったんですが…。
ーー 試験、お疲れ様でした。ちなみに、敗因に心当たりはありますか?
そうですね、もしかすると、ケーブルの配分計算を間違えていたかもしれません。あとは、ランプレセプタクル結線施工で、ネジで絶縁被覆を締め付けてしまっていた可能性があります。被覆を噛んでしまうと欠陥とみなされるので…。心当たりがあるのはこれくらいですかね。
試験が終わってから、もし次に受けるときは、「材料はケチらない方がいい!」と反省しました。今回は、材料は一回分しか用意しておらず、何度も練習できるように、10cm必要な箇所を5cmだけにしたりしていたので。切り替えて、また次頑張ろうと思います!
ーー インタビューのご協力、ありがとうございました!
後編のまとめ
後編でのインタビュー紹介は以上となります。
最後に、Kさんへのインタビュー内容から、第二種電気工事士 技能試験を独学で目指す上でのポイントをまとめてみました。
● 技能試験対策用のテキスト・工具・材料は、なるべく早く手に入れる
● 「一人で勉強するのに不安がある」「プロの先生に指導してもらいたい」という人は試験対策の講習会に参加するのもあり
● 技能試験の勉強は、テキストの目次に書いてある順番通りに進める ⇒ 分からない部分は飛ばして次に進むのも良し
● 練習で使う材料は多めに用意しておくと安心(VVFケーブルの1.6㎜ 2心は使用頻度高め)
● 試験会場によって作業スペースがかなり狭い可能性あり(狭いところでも対応できるように、前もって練習しておくとgood)
● 試験で効率よく作業するためには、材料が配られた時点でどの問題が来るのか予測するのも大事
● 技能試験を受ける前に、欠陥の判断基準を確認しておく
第二種電気工事士の試験に独学で挑戦したKさん。前編の筆記試験編から、後編の技能試験編にわたり、貴重な体験エピソードをたくさん教えてくださいました。
第二種電気工事士の資格試験は、未経験から独学でチャレンジされる方もたくさんいると思います。もし、勉強の仕方が分からない・試験のポイントが知りたいと思った時は、ここでお伝えした情報をぜひ参考にしてみてください!