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電気について調べているとよく目にするのが「計装」という言葉。
「計装や計装士ってよく聞くけど、どんな仕事かよくわからない」聞きなれない方だと、こんな疑問が沸く方もいらっしゃると思います。
そこで今回の記事では、計装とは何か・計装士とはどんな人なのかを解説します。
『計装』とはどんな設備?
計装に関する仕事に携わったことのない方ですと、計装という言葉自体なんなのか分からない方も多いでしょう。
計装とは、すごく簡単に言えば『計測器を装備する』という意味です。計装の『計』は、計器・計測器のことを言い、『装』は、装備の装をとっています。
どんな計器かというと、それは用途によって異なります。例えば、お菓子の製造工場をイメージしてみてください。
工場の生産ラインでは、
生地をこねる工程 ⇒ こねた生地をかたどる工程 ⇒ 発酵させる工程 ⇒ 生地を焼く工程 ⇒ 焼きあがった生地にチョコをコーティングする工程 ⇒ 箱詰めする工程
というように各段階がありますよね。
これらはすべて計器によって制御することができ、機器が連動して動くように指示を出したり、温度や重さなども測定したりします。
計測機器はさまざまな場所に装備されていて、安全に稼働しているかどうかを計測したり、設備に不具合が起きたときの原因を測定したりすることが計装の役割です。
計装士の仕事内容
計装士とは先ほど説明したような計装制御機器を取り付けるための工事を行ったり、配線や配管の設計などを行う技術者のことです。
仕事内容はとても幅広いのが特徴的で、計装制御機器の取り付けだけでなく、機器の設計や動作試験、メンテナンス、改造、修理など多岐にわたります。
計装士は、設備を安全に運転させるため、細かいシステムの計画や仕様決定なども行うので、各種機器に関する深い知識と技術が必要です。
計装士の具体的な業務内容
ひとことに計装士と言っても、現場の種類や業務内容は企業によってさまざまです。ここでは、計装士の具体的な業務内容の一例をご紹介したいと思います。
~ 業務内容の例① ~
●プラント内での、制御機器・工業計器のメンテナンス、修理
●計装工事、電気工事の設計・施工
●制御機器・工業計器の定期点検、動作試験
~ 業務内容の例② ~
●工場、発電所内での電気工事・計装工事
●各種計装設備の設置と設置後の動作試験
●発電所内の計装設備の保守・点検・メンテナンス
計装士に向いている人
計装士の仕事は、機械設備や電気に興味のある人のほか、以下のような人にも向いています。
★手先を動かすような細かい作業が得意な人
★モノづくりや機械の仕組みを学ぶのが好きな人
★技術職で手に職をつけたい人
計装士の仕事をするには、機械や電気の専門的な知識を要するので、自分から積極的に勉強したり、向上心を持って技術力アップに努められる方にはオススメの仕事だと思います。
計装の知識や技術があれば、電気工事会社や工場・プラントなどさまざまな場所で働くことが可能です。これからお伝えする「計装士の資格」を取得すれば、更に活躍の場も広げられますよ!
計装士の年収はどれくらい?
計装士の年収は、約400万円~700万円程と言われることが多いです。
しかしこれはあくまで1つの目安。勤務する地域や、企業の規模、具体的な業務内容などによって年収には開きが出てくるでしょう。
また、「今まで計装士として働いた経験があるか・ないか」、「資格を持っているか・いないか」も給料や年収に関わります。
求人情報などを参考にすると、例えば、未経験者の場合なら月給20万円前後からのスタートになることが想定できます。経験者の場合は、経験年数にもよりますが、だいたい月給25万円~35万円スタートの場合が多そうです。
計装士の資格
計装士には、技術力と専門知識を持つことを認定する事ができる「1級計装士」と「2級計装士」の資格があり、規定の技術審査に合格すると、それぞれ計装士資格が付与されます。
計装士の資格を取得すれば、自身の計装に関するスキルを証明できるだけでなく、会社内での評価のアップにも繋がるでしょう。
場合によっては、資格手当として数千円~数万円支給されることもあるので、計装に関わる仕事に携わる人でしたら取得して損はない資格です。
▼以下に受験資格も簡単にまとめたのでぜひご参考ください。
【1級計装士の受験資格】
計装工事の設計・施工の実務経験年数が5年以上ある者。ただし、2級計装士技術審査試験に合格している者は、実務経験年数4年6ヶ月以上。
※上記の年数には、指導監督的実務経験年数を1年以上含む。
<注意1>
実務経験年数とは、実務に従事した日から起算し前年度の3月31日までの経験年数をさす。なお実務経験とは、建築物その他の工作物もしくは、その設備において計測・制御・監視設備工事又はデータ回線工事の設計・施工に従事することをいう。
<注意2>
指導監督的実務経験とは、現場主任技術者、工事主任・設計主任などの職にあって部下を指示・指導・監督する業務、あるいは工事の施工管理業務に従事した経験をさす。
【2級計装士の受験資格】
計装工事の設計・施工の実務経験年数が2年以上ある者。
<注意1>
実務経験年数とは、実務に従事した日から起算し前年度の3月31日までの経験年数をさす。なお実務経験とは、建築物その他の工作物もしくは、その設備において計測・制御・監視設備工事又はデータ回線工事の設計・施工に従事することをいう。
※上記の受験資格は、一般社団法人日本計装工業会のHPを参考にしています。具体的な受験資格や試験の免除内容、受験手数料については、一般社団法人日本計装工業会のHPをご確認ください。
計装士の需要の大きい職業
計装士の活躍の場である機械設備・電気機器を取り扱う業界は、若手社員などの担い手が不足している業界です。そのため、未経験者でも仕事内容に興味を持って積極的に知識・技術を学ぶ姿勢のある人であれば、入社を歓迎してくれる企業は多いです。
また、工場設備のオートメーション化もどんどん進んでいるので、今後も計装機器を扱う計装士の需要は増加していくことが考えられるでしょう。